コンピュータネットワークシステム(2章)

コンピュータネットワークシステムの概要

コンピュータネットワークシステムの変遷

コンピュータネットワークシステムとは、ネットワークシステムの一部で、複数のコンピュータを相互接続して、互いに情報をやり取りする技術、あるいは、そのシステム全体を指します。
現在では、コンピュータだけではなく、モバイルデバイスや家電に至るまで、さまざまな機器やモノがネットワークに接続しています。また、ネットワークへの接続については、従来の有線だけでなく、スマートフォンや各種センサーなどは、無線での接続が急増しています。
このように、世の中にあるさまざまな機器やモノは、互いに接続され、ネットワークを介してさまざまな情報を交換できるようになっています。
それでは、現在のコンピュータネットワークシステムに至るまでの流れを見ていきましょう。

コンピュータ登場初期(1950年代)

コンピュータが登場した当初は、コンピュータ自体が大変高価で巨大なものであり、設置されている場所も大企業の計算機センターや大学などの研究機関など、一部に限られていました。コンピュータで処理されるデータやプログラムは、カードやテープに記録、蓄積し、カードリーダやテープデバイスで読み込んで一括処理するバッチ処理が主流でした。
この頃のコンピュータは、いわゆる通信ネットワークに接続されてはおらず、実際にはスタンドアロンで稼働していました。このような形態は、データを記録したカードをユーザが歩いて運んでいたことから、スニーカーネットと呼ばれています。

タイムシェアリングシステムの登場(1960年代)

1960年代になると、コンピュータが通信ネットワークに接続し始めて、文字情報のやり取りが可能になってきました。高度な処理を行うことができるホストコンピュータと、情報の入力(キーボード)と出力(ディスプレイ)の機能しか持たない端末の間で通信していたため、このようなネットワーク形態をホスト端末型といいます。


ホスト端末型の処理形態では、基本的にホストコンピュータと接続した端末がネットワーク回線を専有します。そのため、あるコンピュータが接続していると、そのコンピュータの処理が終わるまで待たなければなりません。
そこで、処理データを時間単位で細かく区切って、ホストコンピュータの処理時間を専有する方法が考えられました。これをタイムシェアリングシステム(TSS:Time Sharing System)といいます。TSSでは細かい時間単位で端末処理を切り替えているのですが、ホストコンピュータの処理速度は、当時の端末に比べて圧倒的に高速であったため、端末側から見るとあたかも並行処理を行っているように見えるのが特徴です。

コンピュータ同士の通信(1970年代)

1970年代には、コンピュータの高性能化、小型化、低価格化が進み、これまで入出力機能しか持たなかった端末でもある程度の処理ができるようになりました。一般の企業でも部課単位でコンピュータが導入できるようになり、部署内で処理したデータを、ネットワーク回線を通じて本社などに送信できるようになりました。そのため、処理データは内容や容量に応じて、分散して処理できるようになりました。

コンピュータネットワーク(1980年代)

1980年代には、コンピュータの高性能化、小型化、低価格化がさらに進み、さまざまな種類のコンピュータが登場しました。また、これらのコンピュータを相互接続するためのさまざまなネットワークの形態が登場します。
さらに、これまでのネットワークは、同じ製造元(ベンダ)のコンピュータのみで構成されていましたが、異なるベンダのコンピュータ同士も相互接続できるような技術が開発されてきました。
これらの研究が進んだ結果、多種多様なコンピュータが、さまざまなネットワーク技術により相互接続できるようになりました。

クライアントサーバネットワークの普及(1990年代)

1990年代はインターネットが急激に普及した時期です。企業だけではなく個人向けのコンピュータ(PC:Personal Computer)が普及し、インターネットに接続することにより、WWW(World Wide Web)やメールなどのサービスが誰でも手軽に利用できるようになりました。
WWWやメールなどのサービスは、「サーバ」と「クライアント」という、2つの役割を持つコンピュータが相互に通信することにより動作します。サーバは、WWWやメールなどの資源(リソース)を提供するコンピュータです。これに対して、クライアントは、サーバが提供するサービスを利用するコンピュータをいいます。これらの役割を持つコンピュータが分散して処理を行うことにより、ネットワーク上で効率よく処理が行えるようになりました。

Webアプリケーションの登場(2000年代)

WWWは当初、文字や画像の表示機能しかありませんでした。しかし、2000年代になるとインターネットが十分に普及し、通信回線の高速化(ブロードバンド)やWeb関連技術の発展により、複数のサーバ間で連携して複雑な処理を行えるようになりました。このように、ユーザがWebブラウザを利用して、アプリケーションと同等の処理を実現できる仕組みをWebアプリケーションといいます。

クラウドコンピューティングの登場(2010年代)

2010年代には、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスが普及し、多種多様な端末がインターネットに接続するようになります。また、IP電話やSNSなど、さまざまなコミュニケーションがインターネットを介して行われるようになりました。
インターネットの利用が急増することにより、インターネットサービスを提供するサーバやネットワーク機器は、従来のハードウェアベースでの処理が追い付かなくなってきました。そこで、コンピュータの処理機能(コンピューティング機能)を抽象化、統合して利用する仮想化技術が普及してきました。

企業内に設置されていたサーバはデータセンターなどの施設へ移管、集約され、仮想化技術により統合した処理機能を必要なだけ利用できるような形態に変化してきています。このような形態をクラウドコンピューティングといいます。クラウドコンピューティングの環境では、インターネットに接続するだけで、さまざまなサービスを受けることができるようになっています。

また、クラウドコンピューティングを活用して、これまで通信機能を持たなかったさまざまな「モノ」がインターネットに接続し(IoT:Internet of Things:モノのインターネット)、センサーなどが収集した大容量のデータを蓄積(ビッグデータ)し、AI(Artificial Intelligence:人工知能)技術により詳細に分析できるようになってきています。

このように、インターネットは、もはや私たちの生活に欠かせない基盤技術として利用されています。

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