WAN(6章)

WANの概要

WANとは
WAN(ワン:Wide Area Network)は、拠点間や都市間などの物理的に離れた区間を接続するネットワークで、以下のような特徴があります。
 通信事業者(キャリア)が構築したネットワークを利用
 利用するにはキャリアとの回線利用契約が必要
 トラブルが発生時には通信事業者が対応(キャリアの責任範囲内でのトラブルの場合)


図 80 WANとLAN
 
 

WANサービスの種類

WANサービス

WANサービスは、サービスの提供範囲によって、大きく中継網サービスとアクセス回線サービスに分けられます。WANでは、ネットワークのことを網(もう)と呼びます。


図 81 中継網サービスとアクセス回線サービス
 
 

中継網サービス

中継網サービスは、通信事業者が所有する基地局(局)同士を接続するWANサービスです。主に企業や組織などのプライベートネットワーク同士を相互接続するために利用します。
中継網は、バックボーンネットワークまたは単にバックボーンと呼び、離れた拠点を接続する大きなネットワークを指します。

図 82 中継網サービス

主な中継網サービスとして、以下のサービスがあります。
 専用線サービス
 IP-VPNサービス
 インターネットVPNサービス
 広域Ethernetサービス
 
 

アクセス回線サービス

アクセス回線サービスは、会社や家庭などのサービスを利用する場所から、通信事業者が設置する局までを接続するWANサービスです。一般的には、中継網サービスやインターネットへ接続する際に利用します。

アクセス回線サービスには、有線と無線による接続サービスがあります。有線WANサービスの場合、通信事業者との間でサービス利用契約が締結されると、会社や家庭までケーブルを引き入れることにより利用できます。
無線WANサービスの場合は、利用契約締結後に無線による通信が可能となります。


図 83 アクセス回線サービス


 
 

主なアクセス回線サービスとして、以下のサービスがあります。
 専用線サービス
 インターネット接続サービス(有線・無線)
 
  

WANのトポロジ

ポイントツーポイント接続

ポイントツーポイント(Point-to-Point)接続は、ある拠点と別の拠点の2地点間を1対1で接続する形態です。


図 84 ポイントツーポイント接続
 
 

フルメッシュ接続

フルメッシュ(Full Mesh)接続は、すべての拠点を1対1で相互接続する形態です。すべての拠点と直接接続しているため、回線に障害が起こっても他拠点経由で通信が継続でき、信頼性が高い通信が実現できます。ただし、拠点が多くなるにつれて、必要な回線数が増加するため、それに伴う回線利用コストも高くなります。


図 85 フルメッシュ接続
 
 

ハーフメッシュ接続

ハーフメッシュ(Half Mesh)接続は、特定の複数拠点とだけ他のすべての拠点と接続し、その他の拠点間とは接続しない形態です。フルメッシュ接続と比較すると、ある程度の信頼性を確保しつつ、回線利用コストを抑えることが可能です。


図 86 ハーフメッシュ接続
 
 

ハブ&スポーク接続

ハブ&スポーク(Hub & Spoke)接続は、本社などの特定の拠点とだけ接続する形態です。メッシュ接続と比較すると、回線利用コストを抑えることが可能ですが、回線に障害が発生すると通信ができなくなります。


図 87 ハブ&スポーク接続
 
 

  • 複数のノードを網目状に接続するトポロジをメッシュ型トポロジという
  • 全ノードをつなぐものをフルメッシュ、重要なノードに絞ったものをパーシャルメッシュという。これを拡張スター型トポロジという。
  • コストはかかるが高い冗長性(問題が起きても他でカバーできる状態)を持ったトポロジ。

WANにおけるデータ伝送

データ伝送方式

コンピュータがネットワークでデータを伝送する場合のデータ伝送の方法を、データ伝送方式といいます。データ伝送方式は、ネットワークに接続する機器間の回線の利用方法によって、専用回線方式と交換回線方式の大きく2つに分けられます。

このうち、交換回線方式はさらに回線交換方式と蓄積交換方式に分けることができます。

 専用回線方式
通信を行う二者間に物理的または仮想的な通信回線を用意し、通信が終了するまで回線を占有する伝送方式を専用回線(専用線)方式といいます。

専用回線方式の通信方式は、WANとして利用する通信サービス(WANサービス)として、通信事業者より提供されています。


図 88 専用回線方式

専用回線方式の特徴は以下のとおりです。
 接続先の指定が不要(二点間通信)
 回線の接続、切断の制御が不要(常時接続)
 他ネットワークの混雑(輻輳)の影響を受けない
 セキュリティが高い
 送信側と受信側で通信速度を合わせる必要がある
 定額制課金(伝送速度と距離により変化)

 交換回線方式
通信相手が固定される専用線とは異なり、通信相手により通信回線を切り替えて使用する伝送方式を交換回線方式といいます。交換回線方式はさらに、回線交換方式と蓄積交換方式に分けられます。

 回線交換方式
回線交換方式は、通信する相手と回線を確立した後に、その回線を占有して通信する方式です。公衆電話回線網(電話のネットワーク)で採用されています。
回線交換方式における通信手順は以下のとおりです。
① 宛先の加入者番号(電話番号)を指定して、相手を呼び出す。
② 宛先が応答することにより、接続が確立し、回線が占有される。
③ 占有された回線を利用してデータを送受信する。データ送受信時は回線の占有が維持される。
④ データ送受信が終了したら、いずれか一方が通信を終了し、回線の占有が解除される。


図 89 回線交換方式
 
 

回線交換方式の特徴は以下のとおりです。
 接続先の指定が必要(加入者番号)
 回線交換機の仕組みが単純
 他ネットワークの混雑(輻輳)の影響を受けない
 セキュリティが高い
 伝送路の共有ができず、通信効率が悪い
 送信側と受信側で通信速度を合わせる必要がある
 従量制課金(通信時間により変化)
 
  

 蓄積交換方式(パケット交換方式
蓄積交換方式は、送信データに宛先などの情報を付与した情報(パケット)を送信し、経路上の中継機器がパケットをいったん蓄積し、宛先を読み取って伝送する方式です。インターネットでは、蓄積交換方式によってパケットをやり取りしています。

蓄積交換方式における通信手順は以下のとおりです。
① 送信側でデータを用意し、定められた大きさのデータに分割する。
② 分割データに宛先情報などを付加(パケットを生成)して順番に送信する。
③ 送信側の最寄りの蓄積交換機がパケットを受信して、いったんバッファに蓄積する。
④ 蓄積したパケットに付与された宛先情報を読み取り、次の蓄積交換機に転送する。
⑤ ③、④の手順を繰り返し、宛先コンピュータまで転送する。
⑥ 宛先コンピュータは受信したデータを元のデータに組み替えて処理する。


図 90 蓄積交換方式
 
 

蓄積交換方式の特徴は以下のとおりです。
 接続先情報(ヘッダ)をデータに付加して送信
 蓄積交換機の仕組みが複雑
 他ネットワークの混雑(輻輳)の影響を受ける
 別途セキュリティの仕組みが必要
 伝送路の共有が可能で、通信効率が良い
 送信側と受信側で通信速度が異なってもよい
 従量制課金(通信量により変化)

WANサービスによる接続

接続構成

WANサービスにおける接続は、主にDTE、DCE、DSUまたはONUから構成されます。


図 91 WANの接続構成
 
 
 DTE
DTE(Data Terminal Equipment:データ端末装置)とは、データ通信回線の末端に接続される装置をいいます。一般的には、端末やコンピュータを指します。

 DCE
DCE(Data Circuit terminating Equipment:データ回線終端装置)とは、アクセス回線とDTEの間に設置され、通信回線からの信号とDTE-DCE間の信号の相互変換、およびインタフェース変換を行う装置です。
DCEは単体で設置されることもありますが、多くの場合、DSUやONUなどと同じ筐体に設置されます。

 信号の変換
DCEは、接続するアクセス回線の種類により異なります。アナログ回線のDCEとしてモデム(Modem)、デジタル回線のDCEとしてDSU(Digital Service Unit;デジタル電話回線)やONU(Optical Network Unit;光回線)が、それぞれ使用されます。

 インタフェースの変換
また、DTEは通常、アクセス回線で使用されるインタフェースを持たないため、直接接続することができません。そのため、デジタル電話回線とLANの双方のインタフェースを持つDSUを利用して、インタフェース変換を行います。

 DSU
DSU(Digital Service Unit)とは、ISDNなどのデジタル加入者回線で加入者宅に設置される回線終端装置です。デジタル回線側のインタフェース(Iインタフェース)、LAN側のインタフェースの両方を持っており、それぞれのインタフェース変換が可能です。

 ONU
ONU(Optical Network Unit:光回線終端装置)とは、光回線で加入者宅に設置される回線終端装置です。光回線側、LAN側のインタフェースを持ち、相互のインタフェース変換を行います。

責任分界点

責任分界点とは、WANサービスを提供する通信事業者と、サービスを利用する利用者との間で、責任範囲を分けている場所のことを指します。

WANサービスの契約時には、一般的にサービス利用中に問題が発生した場合に、誰が責任を持って対応するかを明らかにしておきます。日本におけるインターネット接続サービスの場合、DCEは通信事業者からレンタルされます。

そのため、通信事業者の責任分界点は通信回線からDCEまで、利用者(加入者)の責任分界点はDTEおよびDCEまでの配線部分(一般的にはLANケーブル)となります。


図 92 責任分界点
 
 

インターネット接続

通信事業者が管理するWANは、インターネット相互接続点(IXまたはIXP:Internet eXchange Point)に接続することで、他の通信事業者のWANと相互接続し、世界規模の巨大なネットワーク(インターネット)を形成します。
インターネットに接続するためのサービスを提供する通信事業者を、インターネットサービスプロバイダ(ISP:Internet Service Provider)、または、単にプロバイダといいます。


図 93 IXとISPのイメージ 
 
 

主な中継網サービス

専用線

専用線とは、物理的に離れた場所にある拠点同士を1本の専用回線で接続しているかのように扱う、レイヤ1レベルの技術です。

専用線によって接続された拠点間は論理的に1対1で常時接続でき、障害発生時にも別の経路にて通信を継続できます。また、専用回線のため通信速度は一定に保証され、公衆網の混雑に影響されることはありません。さらに、回線に障害が発生した場合でも、通信事業者内で別の経路を利用でき、非常に信頼性の高い通信を実現できます。

専用線サービスは、通信速度と拠点間の距離によって月額固定料金が決まります。拠点間の距離が遠くなるほど、接続する拠点数が多くなるほど、コストが増加してしまいます。多くの拠点間を接続する場合は、VPNや広域Ethernetなど、別のサービスを利用します。

また、専用線はWANサービスやインターネット接続サービスにおけるアクセス回線としても利用できます。


図 94 専用線のイメージ
 
 

IP-VPN

VPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)とは、公衆網を利用して構築される仮想的なネットワークです。他のユーザとネットワークを共有しながら、あたかも自社専用のネットワークであるかのように利用できます。

IP-VPNは、通信事業者が独自に構築したIPネットワーク(閉域IP網)をバックボーンとして、レイヤ3レベルで拠点間を接続するVPNです。TCP/IPプロトコルを使用するため、拠点側ではIP-VPN用のルータを準備して接続することにより、すべての拠点間でのメッシュ接続が実現できます。IP-VPN網内では、通信事業者が所有するルータによってルーティングされ、目的の拠点まで伝送されます。

また、通信事業者が構築した閉域網を利用するため、通信品質(QoS:Quality of Service;速度や遅延時間など)が保証される(ギャランティ型)サービスを選択できるなど、信頼性の高い通信を実現できます。


図 95 IP-VPNのイメージ
 
 

インターネットVPN

インターネットVPNは、インターネットをバックボーンとして利用し、拠点間を接続する技術です。通信事業者が構築したネットワークを利用するIP-VPNとは異なり、インターネットを利用するため、拠点側ではインターネットに接続するだけで、手軽かつ安価に利用できるのが特徴です。
ただし、インターネットは不特定多数のユーザが利用するため、通信速度が保証されません(ベストエフォート型)。また、セキュリティについても保証されないことから、データを安全に伝送することを考慮する必要があります。


図 96 インターネットVPNのイメージ
 
 

広域Ethernet

広域Ethernetは、レイヤ2レベルで拠点間を接続する技術です。通信事業者が構築した巨大なL2スイッチネットワークを利用して通信します。高速なEthernet規格を使用して通信するため、IP-VPNやインターネットVPNのようなレイヤ3レベルの通信網に比べて、高速にデータを送受信できるのが特徴です。ただし、中継網側でルーティング処理を行わないため、拠点側で別途ルーティングの設定が必要となります。


図 97 広域Ethernetのイメージ
 
 

主なアクセス回線サービス

PSTN

PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)とは、アナログ電話回線を使用した音声通話技術です。通信事業者の基地局からケーブルを加入者宅に引き込み、回線交換方式により音声データを送受信します。
DTEが送信するデジタル信号は、DCEによりアクセス電話回線で使用するアナログ信号に変換されます。デジタル信号をアナログ信号に変換することを変調(Modulation)といいます。また、通信相手側のDCEではアナログ信号をデジタル信号に変換してDTEに伝送します。これを復調(Demodulation)といいます。モデム(Modem)は、変調と復調を行うための装置です。


図 98 PSTNの接続例
 
 

PSTNは、非常に信頼性の高い通信が可能なサービスとして、主に一般公衆電話で利用されてきました。1960年代に導入された電子交換機をメンテナンスしながら使用してきましたが、交換機の老朽化が目立つようになりました。また、インターネット技術の登場によるコミュニケーション手段の変化、アナログ電話加入者数の大幅な減少により、電話料金による交換機のメンテナンスコストの回収が見込めなくなってきました。
そのため、2000年前半ごろから、全世界的にPSTNを置き換える動きが検討され、徐々にIP網へ移行する流れになっています。日本では、2025年にPSTNの運用を終了することが決定されています。
 
 

ISDN

ISDN(Integrated Services Digital Network:サービス総合デジタル網)とは、デジタル電話回線を使用して、音声・パケットデータを統合的に送受信する技術です。

ISDN導入が検討された1970年代ごろは、コンピュータ通信はデータ通信網、音声通信は電話網と、異なる回線を使用し、通信方式はPSTNが利用されていました。

デジタル技術が台頭する中で、音声通信をデジタル化し、データ通信と同じ回線で両方の通信が実現できるよう、1970年代後半から1980年代にかけてITU-Tにより標準化されました。

ISDNにおけるDCEは、DTE-DCE間で使用するデジタル信号と、ISDNで使用するデジタル信号を相互変換する役割を持ちます。

また、ISDNでは、デジタル電話回線と社内や家庭内のアナログ電話回線とのインタフェース変換のためにDSU(Digital Service Unit)使用されます。

また、アナログ電話機やFAX、コンピュータをデジタル回線に接続するために、TA(Terminal Adapter)を使用します。


図 99 ISDNの接続例
 
 

ISDNは、PSTNと比較して安定した音声通信が特徴です。また、回線コストの軽減や、企業間の商取引データ交換として標準的に利用される、電子データ交換サービス(EDI:Electronic Data Interchange)における回線として広く利用されてきました。

しかし、近年はインターネットの普及と通信データの多様化により、より高速で安価なADSLやFTTHへの切り替えが進められるようになり、日本では2024年にISDNサービスが終了することが決定されました。

ADSL

ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)とは、アナログ電話回線を使用してインターネット接続できる高速デジタルデータ通信技術です。

ADSLは回線周波数帯域のうち、音声通話で使用しない帯域(約4kHz)をデータ通信用の帯域に割り当てることにより、アナログ回線1本で効率的に音声通話とデータ通信の両方が実現できます。また、基地局から端末への通信(下り、ダウンリンク)が、端末から基地局への通信(上り、ダウンリンク)より高速であることが特徴です。

ADSLでは、ADSLモデムにより信号変換およびインタフェース変換を行います。ADSLモデムには、アナログ電話回線(音声通話用)、ADSL回線(データ通信用)の回線用インタフェースと、電話機、コンピュータを接続するためのインタフェースが備えられています。

また、音声通話とデータ通信を同時に実現するために、スプリッタ(Splitter)によって、周波数帯域による音声とデータ通信の信号を統合、分割します。


図 100 ADSLの接続例
 
 

ADSLは、ISDNの約20倍以上の下り1.5Mbpsの伝送速度と、常時接続(PSTNやISDNは通信ごとに接続)、低価格を特徴として、2000年代始めに日本でも大いに普及しました。

高速・大容量の通信を指して「ブロードバンド」という用語が使用され始めたのもADSLなどが登場した頃です。

最終的に下り最大50Mbpsまでの伝送速度となりましたが、徐々にFTTHに置き換わるようになりました。日本では既に新規契約の受付を終了しており、各通信事業者は2024年ごろまでにADSLサービスを終了することを発表しています。
 
 

FTTH

FTTH(Fiber To The Home)とは、光ファイバケーブルを家庭内に引き込み、収容局からユーザ宅までの区間(ラストワンマイル)で高速・大容量の通信を可能とした技術です。

光ファイバケーブルは、ケーブル内部に光信号が流れます。電話線やLANケーブルなどで使用される銅線ケーブルと比較して、高速で、外部からのノイズの影響を受けにくい特徴があります。ただし、内部がガラス繊維などで構成されていることから、高価で折り曲げなどにより破損しやすい欠点もあります。

FTTHの網構成として、大きく専有型と共有型に分けられます。

専有型は、通信事業者の収容局からユーザ宅までを、1本の光ファイバケーブルで接続し、専有して利用する形態です。ケーブルを専有するため、非常に高速な通信が実現できますが、ユーザ宅ごとのメンテナンスが必要となるため、収容局側の運用コストが高くなります

また、共有型は、通信事業者の収容局からユーザ宅までの間に、光信号の分岐ポイントを設置し、複数のユーザで光ファイバケーブルの帯域を共有する形態です。

収容局側の運用コストが低減できる代わりに、複数ユーザが同時に回線を利用すると、通信速度が低下する可能性があります。

FTTHでは、ONU(Optical Network Unit:光回線終端装置)により、光信号と電気信号の信号変換および、インタフェース変換を行います。また、ONUからLANケーブル経由でブロードバンドルータなどに接続して、コンピュータや電話機などを収容します。


図 101 FTTHの接続例
 
 

移動体通信

移動体通信とは

移動体通信(Mobile Communication)とは、通信中の一方あるいは双方の端末が広範囲に移動できる無線通信の総称です。携帯電話やスマートデバイスなどの端末は、端末が存在する場所に最も近い固定基地局と電波による無線通信を行い、音声や通信データなどを送受信します。

また、端末が移動して固定基地局からの電波が受信できなくなった場合は、移動先の最寄りにある別の固定基地局と通信が可能です。

固定基地局はMNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)が構築・管理しており、ユーザが利用するためにはMNOと利用契約を結ぶ必要があります。


図 102 移動体通信のイメージ
 
 

日本における主なMNO

  • NTTドコモ
  • KDDIグループ(KDDI/沖縄セルラー)
  • ソフトバンク
  • 楽天モバイル
  • *UQコミュニケーションズ

 
 

移動通信システムとは

移動通信システムとは、モバイルデバイスを用いて音声通話やデータ通信などによるコミュニケーションを可能にする無線通信システムです。

1980年ごろに最初の移動通信システムが導入された当時は、音声通話しかできませんでした。しかし、無線技術の発展にともない、パケット通信やインターネット接続が可能となったことから、個人利用から企業でも業務で利用されるようになりました。

移動通信システムの変遷
移動通信システムは、新たな通信システムが登場するたびに新しい「世代」の技術として利用されてきました。

 1G
第1世代移動通信システム(1G:1st Generation)は、最初の移動通信システムです。1980年頃に家庭内に設置している電話機を持ち運んで利用することを目的として、自動車電話や、肩にかけて電話機を持ち運ぶショルダーフォンなどで利用されていました。
日本では、1979年に電電公社(現NTT)がアナログ通話サービスを開始しました。しかし、端末価格や通信料金が高価であったため、ビジネスでの利用用途がほとんどでした。


 
 

 2G
第2世代移動通信システム(2G:2nd Generation)は、1993年に登場したデジタル方式の移動通信システムです。通信方式がデジタル化したことにより、メールやWebページも利用できるようになりました。
日本では、1999年にNTTドコモより、従量課金制の携帯電話IP接続サービスとして「iモード」がリリースされ、一般ユーザの利用が急増しました。


 
 

 3G
第3世代移動通信システム(1G:3rd Generation)は、2000年代前半に登場した移動通信システムです。ITU(国際電気通信連合)が定めるIMT-2000規格に準拠した通信システムで、通信方式などの違いにより、W-CDMA方式とCDMA2000方式の2つの規格に分かれていました。
また、スマートフォンが登場したのがこの時期で、2007年にはApple社からiPhoneが発表されました(日本では2008年にiPhone 3Gが販売開始)。


 
 

 4G
第4世代移動通信システム(4G:4th Generation)は、2010年代中頃に登場した移動通信システムです。3Gの後継規格であるIMT-Advanced規格に準拠しています。当初、IMT-Advanced規格として、いくつかの候補が挙げられていました。ITU-RはLTE-AdvancedとWiMAX2の2つが適していると報告し、2012年に正式に標準4G規格として承認されました。
日本では、2015年にNTTドコモによってLTE-Advancedによる4Gサービス(PREMIUM 4G)が提供されました。


 
 

5Gの概要

第5世代移動通信システム(5G:5th Generation)は、2019年に登場した移動通信システムです。4Gの後継規格となるIMT-2020規格に準拠しています。

ITU-Rは2017年に5Gの技術要素として、高速大容量(eMBB:Enhanced Mobile Broadband)、高信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)、多数同時接続(mMTC:Massive Machine Type Communications)の3つを定義しています。

 高速大容量
5Gでは下りの最大伝送速度の目標を20Gbps(4Gの約20倍)に定めています。これを実現するための技術として、数百前後のアンテナ素子を使用し、高周波数帯域で送信するMassive MIMO(Massive Multiple Input Multiple Output:マッシブ・マイモ)、基地局からの電波を細く絞り、特定方向へ集中的に放射するビームフォーミングの2つが挙げられます。

 高信頼・低遅延通信
ITU仕様では、End-to-End伝送遅延(端末が要求を発出して、応答が戻るまでの時間)は、4Gの10分の1である1ms(ミリ秒)です。これを実現するために、端末の近くで処理機能を利用する「モバイルエッジコンピューティング」が利用されます。

 多数同時接続

ITU仕様では、1平方キロメートル(km2)あたり100万デバイスが同時に接続できることを目標としています。ライブ会場やスタジアムなどの比較的狭い空間からの同時接続を想定しています。そのため、5Gでは、端末と基地局間での接続時のやり取りを簡略化することにより、大量の端末による同時アクセスが実現できます。
 
 


 
 

触覚伝送技術による遠隔手術

 
 

IoT&自動運転

 
 

産業を変えるインフラ:NEXTスマホ

 
 

Amazon GO SUICAタッチレスゲート

 
 

ダイナミックDOOH( Digital Out of Home:デジタル屋外広告)

メモ

固定の大形看板と異なり、横断的な広告展開、時間帯別やセグメント別配信といった柔軟な広告運用、表示視聴データの活用やスマートフォン連携などが活用できる。

 
 

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