コンピュータがつながる仕組み(7章)

コンピュータ間・機器間の接続

物理接続と論理接続

コンピュータと接続機器、または接続機器同士は、単にケーブルで接続するだけでは通信できません。接続した機器同士のプロトコルを一致させる必要があります。
つまり、コンピュータをネットワークに接続させるためには、「物理接続」と「論理接続」の2つの要素が不可欠となります。

 物理接続
物理接続とは、ネットワーク接続する機器間をケーブルなどで物理的に接続させることをいいます。一般的にネットワークにおけるコンピュータや接続機器の配置場所、接続しているケーブル種別、接続機器で使用するポート情報などの物理的な構成は、ネットワークの設計時に物理構成図として記述されます。

 
 

 論理接続
論理接続とは、物理的に接続している機器同士が実際に通信可能となるよう、アプリケーションやコマンドなどで適切な設定を行うことをいいます。物理接続だけでなく、論理的な設定を適切に実施することにより、はじめてアプリケーション間での通信が可能となります。
主な論理構成として、IPアドレスなどのアドレス情報(通信相手を特定するための情報)の設定や、アプリケーション動作の設定などが挙げられます。このような設定を記述したものを論理構成図といい、物理構成図と同様にネットワークの設計時に用意します。


図 48 IPアドレスの設定画面(Windows 10)

このように、コンピュータや機器などが「物理的」に接続されていること、また、各機器に「論理的」に適切な設定がなされていることによって、ネットワークに接続できます。

Work:データの伝送方法

個人またはグループで演習を行います。送信者のAさんはネットワーク上で5GB(ギガバイト)の大容量データを、受信者のBさんに送信したいと考えています。Aさんは、どのように送信するとネットワーク上のユーザが効率よくデータの送受信ができるか、検討することにしました。
なお、ネットワークにはAさん、Bさんの他に多くのユーザが存在し、ネットワークを共有してデータの送受信を行うものとします。

 考えてみよう!
以下の2つのうち、どちらの方法が適切と考えますか。また、その方法を採用するメリット・デメリットを考えて記述してみましょう。
① 一度の送信タイミングで、データをすべて送信する。
② 送信データをいくつかに区切って送信する。

[適切と思われる方法] ① ・ ②
[採用するメリット・デメリット]
 メリット

 デメリット

データ伝送モード

コンピュータ間や装置間でデータ伝送を行う際は、データの流れる方向によって、単方向通信と双方向通信の2つの伝送モードに分けることができます。このうち、双方向通信はデータの同時送受信の可否によって、さらに半二重通信と全二重通信に分けられます。

 
 

 
 

 
 

 単方向通信(片方向通信、シンプレックス:Simplex)
単方向通信は、あらかじめデータの伝送方向が特定の一方向に決められている通信をいいます。通信を行う二者間で、送信側と受信側が決められており、受信者は送信者に向けて発信することはできません。テレビやラジオなどの放送などが該当します。

 双方向通信(デュプレックス:Duplex)
双方向通信とは、データの伝送方向が固定されておらず、ネットワークに接続されたどのコンピュータや装置からも発信可能な通信をいいます。

 半二重通信(Half Duplex)
半二重通信は、データはどちらの方向にも双方向で伝送することができます。ただし、双方向からの通信は同時に行うことができず、必ずどちらかの方向にのみデータが伝送されます。

 全二重通信(Full Duplex)
全二重通信は、データはどちらの方向にも双方向で伝送することができます。また、双方向からの通信を同時に行うことも可能です。

LANでよく利用されるEthernetでは、ツイストペアケーブルが使用されます。ツイストペアケーブルは、8本の細い信号線が2本1組で撚り合わされており(4対8芯)、それぞれの信号線は送信用、受信用に役割が分かれています。

これらの伝送モードは、送受信者間で使用する伝送媒体の性質(有線、無線)、ケーブルの種別によって異なります。

データ伝送方式

コンピュータがネットワークでデータを伝送する方法を、データ伝送方式といいます。データ伝送方式は、ネットワークに接続する機器間の回線の利用方法によって、専用回線方式と交換回線方式の大きく2つに分けられます。このうち、交換回線方式はさらに回線交換方式と蓄積交換方式に分けることができます。

 専用回線方式
通信を行う二者間に物理的または仮想的な通信回線を用意し、通信が終了するまで回線を占有する伝送方式を専用回線(専用線)方式といいます。
専用回線方式の通信方式は、WANとして利用する通信サービス(WANサービス)として、通信事業者より提供されています。


図 49 専用回線方式

専用回線方式の特徴は以下のとおりです。
 接続先の指定が不要(二点間通信)
 回線の接続、切断の制御が不要(常時接続)
 他ネットワークの混雑(輻輳)の影響を受けない
 セキュリティが高い
 送信側と受信側で通信速度を合わせる必要がある
 定額制課金(伝送速度と距離により変化)

 交換回線方式
通信相手が固定される専用線とは異なり、通信相手により通信回線を切り替えて使用する伝送方式を交換回線方式といいます。交換回線方式はさらに、回線交換方式と蓄積交換方式に分けられます。

 
 

 
 

 回線交換方式
回線交換方式は、通信する相手と回線を確立した後に、その回線を占有して通信する方式です。公衆電話回線網(アナログ電話ネットワーク)で採用されています。
回線交換方式における通信手順は以下のとおりです。
① 宛先の加入者番号(電話番号)を指定して、相手を呼び出す。
② 宛先が応答することにより、接続が確立し、回線が占有される。
③ 占有された回線を利用してデータを送受信する。データ送受信時は回線の占有が維持される。
④ データ送受信が終了したら、いずれか一方が通信を終了し、回線の占有が解除される。


図 50 回線交換方式

回線交換方式の特徴は以下のとおりです。
 接続先の指定が必要(加入者番号)
 回線交換機の仕組みが単純
 他ネットワークの混雑(輻輳)の影響を受けない
 セキュリティが高い
 伝送路の共有ができず、通信効率が悪い
 送信側と受信側で通信速度を合わせる必要がある
 従量制課金(通信時間により変化)

 
 

 蓄積交換方式(パケット交換方式)
蓄積交換方式は、送信データに宛先などの情報を付与した情報(パケット)を送信し、経路上の中継機器がパケットをいったん蓄積し、宛先を読み取って伝送する方式です。インターネットでは、蓄積交換方式によってパケットをやり取りしています。

 
 

 
 

蓄積交換方式における通信手順は以下のとおりです。
① 送信側でデータを用意し、定められた大きさのデータに分割する。
② 分割データに宛先情報などを付加(パケットを生成)して順番に送信する。
③ 送信側の最寄りの蓄積交換機がパケットを受信して、いったんバッファに蓄積する。
④ 蓄積したパケットに付与された宛先情報を読み取り、次の蓄積交換機に転送する。
⑤ ③、④の手順を繰り返し、宛先コンピュータまで転送する。
⑥ 宛先コンピュータは受信したデータを元のデータに組み替えて処理する。


図 51 蓄積交換方式

蓄積交換方式の特徴は以下のとおりです。
 接続先情報(ヘッダ)をデータに付加して送信
 蓄積交換機の仕組みが複雑
 他ネットワークの混雑(輻輳)の影響を受ける
 別途セキュリティの仕組みが必要
 伝送路の共有が可能で、通信効率が良い
 送信側と受信側で通信速度が異なってもよい
 従量制課金(通信量により変化)

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 


 
 

 
 

 
 


 
 

 
 

 
 


 
 

 
 

 
 


 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

Work:郵便ネットワークで考える

 
 

郵便はがきを参考に、メールとの違いを考えてみましょう。

① まず、郵便はがきを相手に送るときに記入する項目をすべて挙げ、下表に記入してみましょう。

② 各項目はメールではどこに記載されるか考えてみましょう。

③ すべての項目のうち、はがきを書いた人が相手に伝えたい内容が1つだけあります。どの項目が該当するか考えてみましょう。

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 


 
 

 
 

 
 

パケットの構造

あるコンピュータからデータを送信する際に、送信したいデータだけを送っても相手に届けることができません。相手と1対1で接続しているような特殊な場合を除き、データだけ送信しようとしても宛先情報がないため、送信することができません。

図 52 宛先情報がない場合

 
 

そのため、郵便や宅配便を送るときと同じように、コンピュータや接続装置などの中継機器は、送信したいデータに、宛先の情報や、伝送路を流れていく際の制御情報などをデータ本体に付加してパケットを生成して送信します。

図 53 宛先情報を付加した場合

 PDU

パケットは、送受信するデータと宛先あるいは送信元の情報など(ヘッダ)によって構成されます。つまり、パケット通信を行う際には、どのようなデータであっても、必ずヘッダを付加して送信します。この送受信データのまとまりをPDU(Protocol Data Unit)といいます。
PDUは、プロトコルの制御情報となるPCI(Protocol Control Information:ヘッダ)と、データ本体になるSDU(Service Data Unit:データ、ペイロード)によって構成されます。

図 54 PDU

データの送受信処理

パケット通信において、送信側のコンピュータは、送信データにヘッダを付加して伝送します。また、受信側のコンピュータは、受信したデータのヘッダを読み取って必要な処理を行った後、ヘッダを外してデータを読み取ります。
データにヘッダを付加したりヘッダを外したりするのは、アプリケーションの役割です。コンピュータ間の通信では、複数の接続装置を経由してデータが伝送されますが、通信の主体はアプリケーションです。以下の図で、データの送受信処理手順を確認します。

図 55 データの送受信処理

① 送信側のアプリケーションは、送信するデータを用意します。
② データに通信に必要な制御情報を記述したヘッダを付加します(パケットの生成)。
③ パケットを伝送路に流して送信します。
④ 受信側のアプリケーションは、受信したパケットからヘッダを処理します。
⑤ 受信側のアプリケーションは、データを読み込んで処理します。

このように、データの送受信処理はアプリケーションの通信機能(ネットワーク機能)によって実現します。
さらに、前提条件として、送信側と受信側でプロトコルが一致している必要があります。もし、プロトコルが一致しない場合は、以下のようなことが起きうると考えられ、通信を正常に行うことができません。

 データ(ペイロード)とヘッダの区切り位置の認識が送信側と受信側で異なる
上記②でヘッダを付加する際、元のデータ(ペイロード)も、付加する情報も、実体はビット列です。そのため、ヘッダを付加した場合は、送信側で何バイトのヘッダを付加されたかを、受信側も正しく認識している必要があります。この認識がずれると、本来データであるビットをヘッダとして処理したり、反対に本来ヘッダの部分をデータとして処理したりする可能性があります。

 送信側で付加されたヘッダを、受信側で正しく処理できない
送信時に付加するヘッダは、使用する通信プロトコルにより異なります。ヘッダには、複数の情報が記述されていて、それぞれ、ヘッダの先頭から何ビットのところにどの情報が格納されているかが、あらかじめ決められています。プロトコルが一致しないということは、ヘッダに記載された情報が正しく処理されないことを意味し、通信ができなくなります。

Work:タイミングを合わせる
グループで演習します。みなさんが他の誰かとタイミングを合わせる必要があるのは、どんなときですか。また、その時どのような行動を取るでしょうか。時間内に考えられるだけ挙げてみましょう。

タイミングを合わせる場面 タイミングを合わせるときに取る行動

 
 

同期方式

通信を行うには、送信側と受信側で送受信のタイミングを合わせる必要があります。このタイミングを合わせることを同期といいます。送受信間で同期する方法を同期方式といい、調歩同期、キャラクタ同期、フラグ同期の3つがあります。
 調歩同期(非同期)
調歩同期は、1文字ごとに始まりを示すスタートビット(0)と終わりを示すストップビット(1)を付加してデータ伝送を行う方式です。実際には、送受信者間で同じタイミングのもとにデータのやり取りを行うわけではないことから、非同期方式ともいいます。

図 56 調歩同期

調歩同期の手順は以下のとおりです。
① データの伝送がない場合は、伝送路上にはストップビットが流れます。
② 送信側は、1文字単位でスタートビットとストップビットを付加し、文字データを伝送します。
③ 受信側はスタートビットを受信すると、データ送信が開始されたことを認識し、順にビット列を受信します。
④ 受信側では、スタートビットとストップビットを除く1文字分(7バイトまたは8バイト)のデータを抜き出します。
⑤ ③と④の手順を受信データがなくなるまで繰り返します。

調歩同期は、送信側と受信側であらかじめ送受信のタイミングを合わせておく必要がなく、仕組みが単純であるのが特徴です。ただし、データの伝送効率が悪くなる(80%)ため、高速な通信には向きません。コンピュータのシリアルポートとモデムなどの周辺機器を接続するRS-232Cで採用されています。

 
 


 キャラクタ同期(SYN同期)
キャラクタ同期は、キャラクタ(文字)単位で送受信間の同期を行い、その後連続して文字列を伝送する方式です。同期の際に、SYN(0010110または00010110)という制御キャラクタ(制御文字)を使用することから、SYN同期ともいいます。

図 57 キャラクタ同期

キャラクタ同期の手順は以下のとおりです。
① データの伝送がない場合は、伝送路上には何も流れません。
② 送信側は、送信データの前に同期用の制御文字(SYN)を2つ以上付加し、データを伝送します。
③ 受信側はSYNが送信されている間に送受信のタイミングを合わせます。
④ 受信側はSYNの受信終了後のデータを、7ビットまたは8ビット単位で区切って文字列を取得します。
⑤ 受信側はPAD(トレイリングパッド)などの文字列終了を示す制御文字を受信することにより、通信が終了したことを認識します。

キャラクタ同期は、文字情報しか伝送できないのは調歩同期と同じですが、調歩同期に比べて通信効率が高いため、ベーシック手順(基本形データ伝送制御手順)で採用されました。会社内や家庭内のネットワークで利用するイーサネット(Ethernet)は、キャラクタ同期を応用した方法で同期する仕組みです。


 フラグ同期
フラグ同期は、SYNのような制御文字ではなく、特定パターンのビット列(フラグシーケンス、フラグパターン)により同期を行い、フラグシーケンス以外のビット列を伝送データとみなす方式です。そのため、任意の可変長データの送受信が可能です。

図 58 フラグ同期

フラグ同期の手順は以下のとおりです。
① データの伝送がない場合にも、常にフラグシーケンス(01111110)が送信され、送受信者間でタイミングが取られます。
② 送信側はデータ(可変長)を伝送します。
③ 受信側はフラグ以外のデータ受信を検知すると、送信者からデータが送信されていることを認識します。
④ 受信側は、次のフラグシーケンスを受信するまでのデータを受信します。

フラグ同期は、文字情報だけでなく、可変長データの送受信ができることが大きな特徴です。HDLC手順(High-Level Data Link Control:ハイレベルデータリンク制御手順)で採用されました。

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

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